
「おい猿、出かけるぞ。おまえも付いて来い。」
「はいよ。またどこかの大名に雇われて、戦の助太刀かい?」
「いや、今日は生駒屋だ。」
「するとまた用心棒の仕事だね。今度は何を運びますんで?」
「清洲まで、塩と油だ。」
小折村で馬借をやっている生駒屋は、荷物を盗賊から守る為に、
度々小六等に用心棒を頼んでくるのだった。馬借と言うのは運送業の
ことだ。
蜂須賀一族に拾われた日吉丸だが、やとわれ武者になって合戦に
出かけたり、用心棒になって荷物を運んだりしているうちに、早三年が
過ぎようとしている。
ある日、小六が名前を変えたらどうだと言うので、吉の一字を残して、
今では藤吉郎と名乗っている。