早速藤吉郎が、あの村この村をたずねまわる。 「よいか。それぞれの家から、一束の薪と、一束の炭を出させてくれ。」 「おやすいご用で。木なら山にいくらでもあります。炭なら、その木を焼けばよいことじゃ。」 こうして集めた炭やら薪やらを、足軽たちがお城へと担ぎこんだものである。 「猿っ、よくやった。」 「なんの。この程度は猿知恵でござる。どの村にも苗木を配っておきました。 木を切るばかりでは山がやせます。」 「なるほど。よし、誉めてとらす。」