藤吉郎、五十人の足軽に、
「いいか。おまえ達はとにかくその槍で突いて突いて突きまくるのだ!」
「へい、合点です!」
 足軽たちが手にしているのは、穂先を布でくるんだタンポ槍だ。
 わぁーっと、双方が攻めかかる。

 孫四郎の組は突きの一手だ。短い槍だから、突いたところでとどくものか。 しかし、藤吉郎のほうも槍が長いものだから大振りになってしまって なかなか相手に当たらない。いつまでたっても勝負がつかず、結局勝負は つかないまま終わってしまった。

判断力 −4ポイント


「ええい、槍の使い方も知らぬ奴と引き分けてしまったわい!」
 片桐孫四郎、歯が焼けるほど悔しがったけれど、そもそもどちらの槍が 有利かなど分かるものか。 「猿っ、もうよい。おまえにしてはよくやった。しかし、あれだけ大口を 叩いたのだから出来れば勝って欲しかったがのう。まあよい。」
 信長が言った。ついで、
「藤吉郎。その方に足軽大将を命ずる。」
 とんとん拍子の出世の、これが第一歩である。



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