「猿!」
「やってみよ。」
ということになった。ついでに信長、
「首尾よく築城がかなえば、墨俣の城は、そちにくれてやる。」
「いやーあ、ははは、すると藤吉郎は、一国一城の主。
自分の城を築くとなれば、いちだんと熱がこもるなあ、ひははは。」
美濃は、濃姫の父親である斎藤道三の領地だが、すでに道三は我が子の義竜に殺されている。
その義竜も病気で死んで、今では義竜の子の竜興が稲葉山の城主となっている。
そこで濃姫が気をもんで、
「竜興はわらわの甥だということを、お忘れなさいませんように。美濃の稲葉山城は落としても、甥の命までは・・・・・・。」
「分かっておるっ。そなたの甥なら、わしとてあいつの叔父だということになる。
殺したりはせぬ。横からいらぬ口を出すな。」
「いらぬ口とは、何たる言いぐさ!」
「おっ、やるか。」
にわかに濃姫と信長が相撲を取りだす。かたわらの吉乃はびっくらこいて、後ずさりだす。
信長の赤ちゃんを身ごもっている大きなお腹の吉乃のほうが、よほど力士みたいだ。
ま、相撲で日ごろのウサを晴らし、三人の仲がいいなら、それにこしたことはない。
さて、藤吉郎である。
「寧寧や、良い子でまっておれ。ちょっくら墨俣に、城をこしらえて参るでな。」
といい残し、清洲の城下を後にする。
(さて、どうしたものかのう・・・)

![]() | あらかじめ材木を用意し、一気に組み建てる |
![]() | 攻めて、敵の注意をそらしている間に建てる |