次から次と、いかだを川面に浮かべる。さおを手にしたの武士や足軽どもが、それに飛び乗る。
ものすごい速さで急流を下り始めた。
「さあ、今夜中に築城の骨組みだけは、作り上げようぞ!」
その明け方である。慌てて稲葉山上にうったえでたのが、長良川の下流にある出城の兵士。
「申し上げます!織田勢が、またしても墨俣に城を造りはじめました。」
城主の斎藤竜興が、
「なにぃ、こりない尾張のおじさんめ。直ちに攻めかけて、こてんぱんにやっつけてしまえ。」
家老の日根野備中が、
「急げや、急げ。一刻遅れると一刻分、築城の足がかりを作られようぞ。」
と、騎馬武者やら徒武者やら率いて、墨俣の対岸までやってくる。けれどたどり着いたときはすでに夕暮れだ。
おまけに夕もやがたちこめて、向こう岸がはっきり見えない。
「うーん、うかつに攻めて、奇襲をくらってもまずい。」
家老の備中、しばらく思案していたが、
「よし、夜討ちを決行する。陣を整えておけ。」
そのうちすっかり暗くなる。日根野備中らが、いざ川をわたって攻めようとしたときである。
とっくに敵の様子に築いていた織田勢が、一度にかがり火をともした。
「うわっ、あれは何だ!」
対岸の夜空に、こつぜんと巨大なとりでがうき上がった。
屋根さえのせれば、すでに立派な城だ。美濃勢が驚いたのなんの。