「筑前。そちに浅井の領地すべてを、授けてつかわす。」
「ひぇーっ、北近江も長浜もみなわしの国でござりまするか?」
「そうだ。それで15万石にもなろうが、少ないものよのう。」
「少ないなど、とんでもない!」
「織田家の家老としては、少ないと申しておるのだ。」
「か、家老!」
秀吉、二重の喜びで天にもまい上がらんばかりだ。
「浅井、朝倉を討ったからとて、これで天下を治めたわけではない。
武田、上杉、毛利と、まだ敵はいくらもある・・・・・・」
信長は自分にいいきかせるように、ひとりごちている。