明くる日である。清水宗治が切腹すると、 高松城をかこんでいたつつみが羽柴の軍勢によって切られた。 いざ水が引き出すと、吉川元春が、
「この機を逃さず、筑前においうちをかけちゃろうか。 今こそ毛利が、播州あたりまで進出する好期ぞ」
と言い出した。すると小早川隆景が、
「筑前こそ、信長にかわって天下を平定する男と見るゆえ、それには反対じゃ。 追い討ちはせぬと、安国寺も約束してきた。 今や約束をやぶっては、いずれ筑前が中国方面のとうちにかかったとき、敵になる。」
 ついで隆景、こうしめくくった。
「いったん和議を結んだとなれば、その約束は守ってゆこうぞ。 毛利の家名をけがすようなことはできぬ。」

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