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アレルギーを持っていない人

アレルギーの現状

現代の社会においてアレルギー疾患はもはや無視できない深刻な病気になっています。食物アレルギーは子供に多いですが、大人も含めると国民全体の1.2%と報告されているのをご存知ですか?さらに、平成23年の厚生労働省の発表によれば、アレルギーを持っている人の人口は日本国民の約五割にも達しています。つまり、日本の二人に一人は何かしらのアレルギーに苦しんでいることになります。また、これは何も日本だけの問題ではなく世界的にみても非常に重大な問題です。ある記述によれば、全世界でぜんそく患者は約3億人、食物アレルギーを持っている人は約2.5億~5.5億人、アレルギー性鼻炎患者は約4億人もおり、いずれも増加の一途をたどっているのが現状です。

アレルギーを知ろう!

社会とは皆が互いに尊重しあい、協力しあうことで初めて正しく成立するものです。今日のような現代社会において、すべての人がよりよく暮らせる社会を機能させていくためには、各個人がアレルギーという問題についてしっかりと向き合っていく必要があります。たとえ自分がアレルギー疾患を持っていなくても「自分はアレルギーを持っていないから」と無関心になっていては、どこかで必ずアレルギーを持っている人に配慮を欠いた行いをしてしまうでしょう。時に、アレルギーではない方はアレルギーを持っている人の辛さに共感しにくいことがあるからです。もしそのような行いが広まれば、よりよい社会は実現しません。また、現在はアレルギーを持っていなくても明日からはアレルギーを持っている人として生きていかなければならない可能性は十分にあります。アレルギーについて関心を持ち正しい知識を蓄えることで、自分の、ひいては社会の向上につながるでしょう。

アレルギーとの接し方

では、具体的にどのようにアレルギーについて接していけばよいのでしょうか。特にアレルギーを持っていない方は何をすればよいか分かりにくいと思います。まずは、自分がどのような現状なのかを知ることが一番です。今、自分にはどんな疾患やアレルギーの可能性があるのかを知ることで、自分が発症した時のために備えることができますし、どのようなアレルギーについて知っておく必要があるか、という方向性が定まると思います。特にアレルギーの可能性については注意が必要です。症状としては出て来ていなくともアレルギーになりかけている場合があるためです。

また、自分だけでなく周りの人の情報を知ることも大切です。例えば、アレルギーを持っている人の家族の方々は、その方のアレルギーについてしっかりと知ることで、アレルギーの抗原が含まれている食物を把握したり、居住環境を工夫してなるべく抗原を回避するための援助をするなどの生活環境改善ができます。また、ショック症状時などの緊急時の対応は自分だけでは不可能なのでしっかりと周りの人が把握しておく必要があります。自分だけでなく周りにも目を向け、常日頃から配慮することが大切です。

次に大事なのは知識を得ることとそれを生かすことです。これはすべてのことに共通しますが、知識は行動を伴って初めて対外的な意味を成します。アレルギーについて知った後、「もしかしたら周りにこんなアレルギーを持っている人がいるかもしれない」という風に意識することができれば、自分がどのような配慮をすればいいかという具体的な行動がわかるはずです。

具体例

エピペン注射

例えばエピペン注射の扱い方についてです。あなたが、アナフィラキシーショックを起こした患者に立ち会ったとします。あなたがエピペン注射の使い方をわかっていて、エピペンの副作用が一過性のもので使う害よりも使わない害の方が大きいということをしっかり理解しておけば、エピペンの使用の判断を正確に下すことができ、さらに重篤な症状になることを阻止できるかもしれません。

アレルゲン物質に注意

ほかには、アレルゲン物質の知識についてです。過去にこのような事例がありました。ある母親が牛乳アレルギーの子供にハムを与えたところ、じんましんや咳の症状がでたとのことです。原因となったのは、包装に表示されていた「カゼイン」という物質が牛乳中に含まれていて、アレルギーを引き起こす抗原になっていたことを母親が認識していなかったことです。牛乳アレルギーのアレルゲンはカゼインという物質なのに、摂取するものが牛乳ではなかったら絶対に症状が起きないと誤解していたと推測されます。実は現在の食品表示法ではこのようなタンパク質などのアレルゲン物質の表示は義務付けられていません。このことに関して自分はかなり心配していて、「この食品には牛乳アレルギーを引き起こす原因物質「カゼイン」が含まれています」などと原因物質を表示するようにしてほしいと思っています。そうすれば誤食による事故はさらに減らすことができるできると思うのです。また、消費者側もこのような現状を踏まえたうえでの注意が必要です。

アレルギーの罹患率

食物アレルギーは子供に多いですが、大人も含めると国民全体の1.2%と報告されています。何らかのアレルギーを持つ子供は全体の3〜4割、大人は3割近くとされ、アレルギー自体が増加傾向にあります。

アレルギーを持っている人への医療提供

アレルギーを持っている人自身が自分のアレルギーに対して認識が不足している問題について、これには周りの人による情報提供も必要です。
医者は、診療ガイドラインを普及させることが重要かと思います。専門機関と、患者への効率的な医療提供へ結びつけることができるのです。

家族ができること

アレルギー持ちの方の周りの家族の方々ができることとすれば、まずは生活環境改善が挙げられると思います。アレルゲンが含まれている食物を把握したり、その他住環境を工夫してなるべく抗原を回避するための援助をすることができます。また、ショック症状時などの緊急時の対応は自分だけでは不可能なのでしっかりと周りの人が把握しておく必要はあるかと思います。

児童のアレルギー検査を学校が行うのはどうだろう?

自宅では、それなりの意思がないとアレルギー検査を受けようとする気にはなれないと思います。しかしアレルギー検査を受けないと、気づかれていないアレルギーを予期しない時に発症してしまう可能性もあります。全員の国民が等しくアレルギー検査を受けられるようにするべきだと思います。そのためには、まず児童については、ほぼ全員が通うであろう学校内においてアレルギー検査を実施することが有効的かと考えました。

幼稚園での小さい子供のアレルギーへの対応について

小さい子供は自己管理を行うことが困難なため、アレルギー含む衛生面でも両親による監視が必要となります。特に小さい子供を長時間預かる幼稚園や保育所には、両親と同じようにしっかりと監視する責任があるわけですが、今の現状を見ると子供を預けるには不安なところもあります。

保育所の約5割で食物アレルギーに関する事故が発生しています。事故の内容は右の図の通りです。
図を見ても分かる通り、配給配膳ミスによる事故が目立っています。この原因として、人員が手薄だったり、ワゴンにあった食物アレルギー児の除去食の除去カードが落ちてしまい食物アレルギー児に一般児の給食を配膳してしまったことなどが挙げられます。
このように、よく注意して監視していると思われている幼稚園や保育園でも事故が防げないということは、子供のアレルギー対策はとても難しいのです。

小さい子供が「まずい」と言ったらアレルギーを疑え

小さい子供のアレルギーを把握するためにはどうすればいいのでしょうか。小さい子供の言うことを逃さないことが大切です。アレルギーの食品を食べると、子供はたいてい「まずい」と言うそうです。ここから、アレルギーかどうかを検証し必要によっては対処をとることもできます。

学校での配慮について

小・中・高等学校において、各アレルギーに対する生徒への配慮の現状についてのデータです。
ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎・結膜炎の順にはいと答えた学校が多いことが分かります。特にアレルギー性鼻炎・結膜炎は生命にかかわる疾患ではないので十分な取り組みがなされていないと思われます。しかしこれらの疾患はQOLに大きく関与しているので、やはり見逃してはいけないものだと思います。

その他、知っておきたいこと、知っておいてほしいこと

  • 食物アレルギーの子供は身近に大勢いる
  • 食物アレルギーは、即時型が多い
  • 適切な対応がなければ、重症の場合、命が危なくなる

まとめ

多くの人にとって常に何かを意識するというのは非常に困難なことです。ですので、まずは、ふとした時にでも思い出して心掛ける、という一時的なものからできるようにしていきましょう。このような些細なものを繰り返すことが意識改革につながっていきます。現在の日本はまだまだアレルギーについての法も意識も追いついていない印象があります。アレルギーのメカニズムなど単体の知識や自分のアレルギーの知識だけはあるのにそれだけで完結してしまっていて、周りの人への配慮というものはなかなか不足しているのではないかと感じます。国も、個人も、すべてがアレルギーに対する意識を持つことが重要なのです。また、最初に述べたように子供の3人に1人はアレルギーがあります。その多くが即時型であり適切な対応がなければ、重症の場合、命の危険もあり得えるものです。加えて幼児は食べるものを自己管理できません。このような状況で気を付けるべきはアレルギーの有無にかかわらず大人の責務です。一人一人の関心が知識に結び付き社会の変革につながります。ぜひみなさん、この機に自分のことを見直してみましょう。

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