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トップ>学習レポート>抗原提示は実はTh1とTh2共通の「さなぎ」に行われる【発展】
はじめに
実は、アレルギー図鑑で紹介した内容には少し省略されている箇所があります。アレルギー図鑑では、マクロファージや樹状細胞は病原体などが侵入した時にはTh1に、アレルゲンなどが侵入した時にはTh2に抗原提示する、と紹介しました。 | |
ナイーブT細胞
しかし正確に言うと、侵入したものが病原体であってもアレルゲンであっても、彼らが抗原提示する先はTh1とTh2の共通の「さなぎ」のような細胞なのです。このさなぎの細胞を「ナイーブT細胞」といいます。 | |
分化
そしてマクロファージや樹状細胞が抗原提示をした後に、ナイーブT細胞をTh1かTh2かにするのです。Th1とTh2は血縁の近い親戚のような関係なのですね。このように、細胞の機能が特殊化することを「分化」といいます。
詳しい分化工程
それでは、ここからはもっと詳しく分化工程を見ていきましょう。
マクロファージや樹状細胞は、ある決まった物質をナイーブT細胞に送ることによってどちらに分化するかを伝えます。
病原体などが侵入しTh1に分化してほしい場合は、「IL12」*や「IFN-γ」という物質を送ります。すると、ナイーブT細胞内で「STAT1」や「STAT4」というタンパク質がこれに反応し、「T-bet」というTh1になるスイッチをオンにします。
対してアレルゲンなどが侵入しTh2に分化してほしい場合は、「IL4」*という物質を送ります。すると、ナイーブT細胞内で「STAT6」というタンパク質がこれに反応し、「GATA3」というTh2になるためのスイッチをオンにします。
送られてきた物質の種類によって入るスイッチが変わり、その後分化が行われるのです。
* ILとは、インターロイキンのことです。
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