なぜ子供の虐待? ページの先頭へ |
子供の虐待は、今、社会問題となっています。信頼する肉親に虐待される子供心の傷は深いですし、それによって死ぬ子供までいます。そこで私は、子供の虐待についての現状とその解決策を調べてみました。
子供の虐待の実状(1)子供の虐待の歴史と段階 ページの先頭へ |
虐待は、人類の歴史と共にあったと思われます。その段階は
第1段階 国や親、子どもなどの当事者が目をつぶり、虐待の存在を否定する。
第2段階 身体的虐待を認識し、対策の検討が始まる。
第3段階 かわいそうな子どもを守ろうという気運が高まり、親から離して保護する。
第4段階 親の治療による問題解決を始める。
第5段階 性的虐待に気付く。
第6段階 発生の予防に取り組む。
となっています。しかし日本では、未だに第2段階で、一刻も早く発生の予防の第六段階まで引き上げなければいけないのです。
子供の虐待の実状(2)子供の虐待の現状 ページの先頭へ |
実際に起こった事例を紹介します。
〈排泄の躾・・・〉
「排泄の躾けのため」と親が言う理由で、殴る蹴るの折檻を受けて、死亡した2歳児がいました。全身に皮下出血斑とタバコの火を押しつけた痕があり、骨折もあり、死因は蜘蛛膜下出血です。死亡事例でも多くの親は「躾のため」と言います。
「風呂で転んだ」と親は言いますが、体に残った痕は電気掃除機の柄を押しつけたものであることが後で判りました。死因はそれによる脳挫傷です。親の多くは事実を話しませんが、親の説明と子どもの症状か矛盾すること自体が虐待を示唆します。
〈育児放棄による死亡〉
「盗み食いに対する躾」と食物を与えられなかった6才の子が、罰として水をかけられ放置されたために肺炎になり、死んでしまいました。
〈カッとなって〉
うたた寝を起こされた母(18)が長男(1)を浴槽に沈めたことで死に至らしめた。
〈寝ない子を〉
父(33)が長女(2)の後頭部をつかんで床に突き倒す。寝かせつけようとしたが泣いてむずかったのに腹を立てた。
これらの事例は、あくまでもごく一部です。このほかにも虐待死は発生しています。
子供の虐待の場合、母親による虐待が五二%をしめ、二七%の父親を合わせると、虐待は、多くの場合実の両親によって行われます。これは子どもにとっては耐え難いことです。
実際の虐待の総数は、被害者、加害者の通報が氷の一角であるために正確には把握されていない物の、昨年の死者が57人、児童相談所への虐待の相談件数が5352件であることから、少なくとも万の単位であることが分かりますが、実体はいまだに把握されていません。
子供の虐待の実状(3)こどもの虐待の原因 ページの先頭へ |
1.虐待しやすい親
2.ストレス
3.社会的孤立
4.親の意に添わない子ども
子供の虐待の実状(4)虐待された子供 ページの先頭へ |
虐待された子供は、体の傷のみならず、深い心の傷を負います。一概に他人を信じられなくなり、愛を求める傾向にあります。子ども達が虐待をさける方法は子どもによって大きく2つあります。
1つは防御です。この場合、親の言うことに忠実に従い、親に誉められるだけのために行動するため、親離れできなくなり、「アダルトチルドレン」の大きな要因とされています。
もう1つは、反撃に出る方法です。すると、親のみならず社会に対して反抗し、非行、麻薬、犯罪の温床になります。
虐待を受けた子ども達が大人になると、暖かい家庭を作るために子どもを速く作る傾向にあり、子どもへの対応が解らず、苛立って暴力を振るってしまいます。すると自分が親と同じであることに愕然とし、さらに自信をなくします。
症状が進む場合、自分の受けた「虐待」という現実のストレスがあまりにも多いので、そのストレスを引き受ける人格を、もうひとつ別に作るという「多重人格障害」が出ます。意識障害や、記憶障害、人間関係障害に発達することも多いです。
問題解決の方法(1)事後解決の方法 ページの先頭へ |
問題解決は、まず、虐待の発見から始まります。もしも、
・叩く音や叫び声が聞こえる。
・不自然な傷が多い。
・服や体がいつも極端に汚れている。
・小さな子どもを置いてしょっちゅう外出している。
こんなことを知った場合、最寄りの児童相談所に連絡することが大切です。これは児童福祉法の第25条で保護者に監護させることが不適当な子供を発見した人は、これを児童相談所に教えてなければならないと言う風に法律で規定されているからです。
児童相談所は、子どもの心を開いて、話を聞きます。場合によっては親から隔離し、施設に入れる場合もあります。そして、親に子供を愛するためのカウンセリングをし、子どもの心の傷を取り払います。
問題解決の方法(2)事前解決の方法 ページの先頭へ |
事後解決では、あくまでも事後であって、心の傷を取ることは非常に大変な事です。そこで、予防が必要です。虐待を受ける子ども達にとって大切なのは、子どもが
・自分の身体がかけがえのないものである
・子どもには自分を守る権利がある
・自分を守るためには大人の命令を聞いてはいけない場合があり、NOとはっきり言うこと言う。
・被害を受けたらそれを誰かに話す必要があること
の4つを実践することです。これらは勇気がいる物の、非常に効果が高いものです。
そして、国の対策も重要です。今の法律では、教師や保育士等には、虐待を発見したら児童相談所に通報する様義務付けているのですが、残念ながら、それを実際に運用する上では、問題があります。例えば子供が「反撃」に出たとき、外傷があったとしても、その解釈が難しく、通報ができない場合があるのです。
それに、悪いことをした子どもをたたくなどという場合は、親権の行使と紙一重なので、国家も積極的には介入したくないのです。96年に児童相談所がした家裁への保護の申し立てが54件に過ぎないことがそれを物語っています。しかし、99年度の児童相談所への申し立て件数が1万1631件となるなど、進歩が現れています。これを氷山の一角と取るか、進歩と取るかには議論がありますが。
さて、それだけでは予防になりません。一番の予防は、加害者をやめさせることにあります。まず、子ども時代に愛されてない場合、一番重要なことは、愛を与えることです。子どもをかわいがる方法を知らないので、他の人達とコミュニケーションを取ったり、育児サークルにはいることが大切です。
次に、生活ストレスは、まず、ストレスの元を取ることです。ストレス解消のために子どもの昼寝時間などに趣味を持ったりすることが重要です。
社会的孤立は、社会が、彼らを守る必要があります。この問題を、国はもっと考えなければなりません。
親の意に添わぬ場合、子どもは親の意に従わないものだということを認識しなければ成りません。そして、どうしても認識できない場合は、手を出す前に少し子どもから離れ、冷静になることです。
一番重要な事は、もう一方の親が、虐待する親と子どもの両方の気持ちを理解し、解決を図る事にあります。虐待のリングは、親から子、子から孫へと伝わります。親の愛を知らない親は子供を愛せません。虐待が起こったら、虐待を起こした親の親からはじめて、全員をカウンセリングする必要があります。
考察 ページの先頭へ |
虐待がこの頃社会問題化していることからこの問題を研究してみました。虐待が珍しいことのように見えるのに、それは氷の一角にすぎず水面下ではものすごい虐待が行われていることを知りました。私が親になったら、子どもを愛し、理解する努力を惜しまないようにします。そして、有権者としても虐待を防ぐために社会に働きかけたいと思います。国も、子どものことを考えて、もっと積極的に介入して虐待を予防する教育などをしてもらいたいです。
参考ホームページ、その他 |
朝日新聞様
「虐待児のケア、悩む教師ら」
asahi.com
<http://www.asahi.com/life/child/0307b.html>
2001 (2001年3月)