法律家

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法律家とは何か
法曹三者への道
弁護士
裁判官
検察官
法律家の役割「提案に代えて」
参考ホームページその他
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法律家とは何か ページの先頭へ

社会  法律家とは、法律によって社会を運営していく際のキーマンであす。全ての人は、法に基づいて生きています。しかし、普通、それを特に意識しなくても法律を遵守することができます。ですから、法律家を必要とする場面は、個々人としてはそんなにありません。もしも、犯罪や、訴訟に巻きこまれたりして、自分一人では対処しきれない時に、法律家が助けるわけです。代表的なものとしては、弁護士、裁判官、検察官がいます。そのほかに司法書士 などもいますが、やはり代表はこの3者です。それを法曹三者と呼びます。法曹三者の大部分は、司法試験を通り、司法修習を終了した人です。この法曹三者についてのそれぞれの役割を知ることで、法律家とは何かを問おうと思います。

法曹三者への道 ページの先頭へ

 法曹のほとんどは、司法試験を通っています。学者などが裁判官になったり、たたき上げの副検事が検察官になったりする事はありますが、それはあくまでも少数派で、多くは司法試験に受かった人です。では、司法試験とはいったい何でしょうか。みなさんも、医師試験と並んで難しい試験だと聞いたことがあるのではないでしょうか?
 これは、法曹としての最低限の力を計るというあくまでも絶対評価の試験です。そしてそれに合格した人だけが司法修習所に入所できます。しかし、合格率が3%前後で、平均すると5年くらい受検を続けないと合格できないと言うのが実状なのです。受験を始めてから3年以内の人を優遇したりしています(丙案)けれど、「ベテラン」などからの批判は根強です。勉強は、大学の授業では足りず、サークルや、勉強会、予備校(ダブルスクール)などで勉強する人が多いのです。仕事をしながら学ぶ人もいます。 
 司法修習所は、実務を徹底的に教え込む学校で、なんと司法修習生は国家公務員なのです。司法試験に合格する能力と、実務家として任務に当るための能力には大きな差があります。そこで基礎を習い、それから弁護士会、裁判所、検察庁に行ってそこでナマの事件を担当します。
 時々テレビの裁判所の様子のところで、裁判官の隣に司法修習生がいるのを見たこ とはないでしょうか?その後、二回試験という卒業試験の勉強をし、二回試験を通り、法曹三者の仲間入りです。ただし、この司法修習所に入所すると、極秘の調査票が最高裁から勤務先などに送られ、事情を調査されるそうです。この中で「犯罪をやっていたが、示談して前科になっていなかった」などいうことになると、裁判官になれないという話しもあります。

弁護士 ページの先頭へ

 弁護士は、弁護士法第1条にあるように弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする人々です。弁護士の仕事は訴訟だけではありません。確かに訴訟も業務の中身の一つですが、強制執行で取るよりも、示談や調停、そして和解で取る方が両方の気持ちが良いために、交渉も大きな仕事の一つです。そのほかにも書類を書いたり、相談に乗ったりと、色々な業務をこなしています。初回の法律相談は30分5000〜10000円で、これを高いというか安いというかは本人の気持ち次第でしょう。しかし、医者のように確実に報酬の7割は(保険から)もらえる仕事と違い、負けた場合は、確実にもらえるはずの着手金(着手金と成功報酬が弁護士の主な収入で、着手金は請求額の10% 前後(請求額の大きさで異なる)、報酬は成功した場合獲得額の15%前後(請求額の大きさで異なる)で、負けても着手金は保証される。)も、本人が出し渋ったり、相手への賠償で破産するなどして骨折り損のくたびれもうけとなることもあります。
  国選弁護士として刑事弁護をする場合、例えば、再犯で、罪を認めていて、抒情証人のみで抒情酌量を求めるだけなどという裁判もあり、その場合、刑が軽くならないと足が出ることもあるそうです。お金のことを考えて国選を断る弁護士も出るほどですが、大多数はお金ではなく、人権を守るために弁護をしています。
 被疑者はいくら社会的に悪人とされていても、あくまでも「被疑者」ですし、いくら悪人でも、公正な裁判は絶対に必要だと言う観点から弁護士がつき、人権を守ります。 弁護士の中には報酬だけを求める悪徳弁護士がいて、特にアメリカでは「アンビュランスチェーサー(救急車を追いかけて、被害者に無理矢理訴訟を起こさせる弁護士)」や「神は悪魔との訴訟に負ける→天国に弁護士はやってこれない」などと非難されています。この様な状況にならないためには、弁護士倫理の保持が重要です。弁護士会と、大学と、司法修習所と最高裁の連携が必要でしょう。

裁判官 ページの先頭へ

 裁判官は、人を裁くのが仕事です。結果として、人を殺すことにもなるので、良心にしたがって、他の行政,立法,裁判官から独立して,法律にしたがって業務を行います。つまり、裁判官の判決に、他の政治権力などから圧力がかかって変わってしまったりはしないと言う事です。下級裁判所の裁判官は、最高裁の名簿にしたがって内閣が任命します。10年毎に「再任」されますが、再任を拒否されることもあります。 裁判官は、転勤があります。それは、癒着などを避けるためです。ほぼ2年おきにある転勤を繰り返します。その中で、裁判官としての技術を磨きます。
 裁判所に入って5年間は、少年事件などの例外を除いては、自分一人では裁判をすることができません(未特例判事補)。3人か5人で行う合議、つまりみんなで相談をしながら裁判をする時に、裁判に参加をします。この下積み修行の経験が、後に裁判官としての大きな成長を促します。5年経つと、特例判事補として、一人で判決を下せるようになります。10年目で初めての再任を経験します。この時に判事になります。
 最高裁判所の裁判官は、任命されて最初の総選挙のときに、国民審査が行われます。今まで、国民にNoと言われた裁判官はいませんでした。大体10%くらいの反対票しか出ません。その理由の1つ目は、裁判官が誰なのかわからないという事です。その人は右よりなのか、左よりなのか、どのような判決を下したのか...。自分で全て調べなければ分からないのです。メディアも、全くと言って良いほど報道しません。二つ目は、審査用紙が×を書くか何も書かないかしかない点です。例えば、A裁判官は反対だが,B裁判官はどのような人か分からないので保留にしたいと思う人は、どうすれば良いのでしょうか?A裁判官の欄に×をつけるのは分かりますが、B裁判官には何をつければ良いのでしょうか?何も書かなければ支持しているとみなされ、×を書くと反対しているとみなされるのです。棄権をすると、A裁判官への反対を表明することもできなくなります。このように、国民審査には問題があります。開かれた裁判が求められているのです。

検察官 ページの先頭へ

 検察官とは刑事事件について、公訴を行い、公益の代表者としての任務を遂行する人です。分かりやすく言うと、正義の味方でしょうか?巨悪を根絶やしにするために日々政治家と戦っているなどというイメージのある検察。現実に、そんなことをしているのが特捜部です。
 では、他の検察官は主にどのようなことをしているのでしょうか? 検察官は、戦後、大きな権力を手に入れました。それは、戦前に警官による暴走が起こり、それを検察官に抑制してもらうために、大幅な捜査権を手にしたのです。検察官は、捜査を指揮し、その上で公益の代表者として法廷で戦います。犯罪者vs社会(国)の戦いという刑事裁判の国側の代表が検察官です。
 弁護士事務所で何年働いても弁護士にはなれません。しかし、ノンキャリアとして3年以上副検事を務めると、特例検事になることもできます。司法試験に合格しなくてもなれる、司法権の担い手としては、他に簡易裁判所の裁判官や、最高裁の裁判官もありますが、例外的といえるでしょう。

法律家の役割「提案に代えて」 ページの先頭へ

 人権を守る弁護士,人を裁く裁判官,正義の味方の検察官...では、そもそも、法律家とは、何でしょうか?法律家の仕事は価値判断です。価値判断とは、刑事だったら被告人が有罪か無罪かの心証であって、民事ならばどれだけの額を払えば両方の権利が均衡になるかの心証です。この価値判断が裁判官の一番の役割です。まず、この心証を決め、その後でその理由を全ての人が納得するようにつけます。自由心証制というのは、自分の裁判官としての良心と法律に従えば、どのような判決でも良いわけです。ですから、法律家としての能力には、法律知識だけではなく、一般人の感覚が必要になります。一般人の感覚を理解する法律家の養成こそが、未来の法律家教育の道筋で、それが結局開かれた司法につながるのではないでしょうか。
 そのためにも、国民審査で、○か、×か何もつけないという3つからの選択式にすることと、裁判官による情報公開が必要だと思います。


参考ホームページ、その他

【引用情報】画像「社会」
【情報源】岡茉莉子
【引用許可の取得方法】本人に直接許諾を得る
【許可の取得年月日】2001年3月10日

法学書院『弁護士の仕事が分かる本』
法学書院,1999

法学書院『裁判官の仕事が分かる本』
法学書院,1999

法学書院『検察官の仕事が分かる本』
法学書院,1999

福島隆彦氏・山口宏氏『法律学の正体』
洋泉社,1995


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