TOPIC1-1.アジア地域の戦争と紛争

1. カシミール問題
 
国土とその歴史
 
カシミールは、インドとパキスタンの境界に位置します。
もともと現在のインドとパキスタンは200年にもおよぶイギリス統治下にありました。イギリスから独立したのは1947年のことでした。
その際、国民議会派は、一つの国として独立することを望んだのですが、イスラム教を信仰するムスリム連盟は、イスラム教国家の分離独立を希望したため、両者に対立関係が生まれました。
そこでイギリスは、イスラム教徒の多い地域をパキスタンとし、その他の地域をインドとして独立することを提案した結果、インドを挟んで東西にパキスタンが成立したのです。東側のパキスタンは後にバングラディシュとなります。
しかし、幾つかの地域では、インドに属するかパキスタンに属するかで問題を残した状態になりました。 カシミールもその一つです。
その年の10月、パキスタンはカシミールを自国に帰属させるため、この地に侵攻したのです。カシミールの藩王ハリ・シンは救いの手をインドに求め、インドのネルー首相は、「カシミールの暫定的なインドへの帰属」を条件に援軍を送りました。第一次印パ戦争の勃発です。
国連安保理事会はこの紛争を解決すべく、幾つかの条件をつけて1949年に停戦を取りつけました。その中にカシミール帰属に関する「住民投票」というものがありました。パキスタンは、この後もこれを紛争解決への絶対条件と主張し続けます。インドは「住民投票」は不要であると主張しました。
二国の関係改善にはアメリカやソ連邦などが調停を試みましたが皆不調に終わりました。
以後、二国は緊張状態を継続し、1965年には第二次印パ戦争、1971年には第三次印パ戦争が勃発し、その都度停戦しながらも問題解決には至りませんでした。
 
現在の情勢
 
1998年、インドが中国の脅威へのアピールとして行った核実験にパキスタンは敏感に反応し、即座に自国での核実験を開始しました。これによりカシミール問題を含めたインド・パキスタン間の緊張は、全世界の緊張へと位置付けが変わってしまいました。 状況によっては、再び戦争が起こる可能性は否定できません。そして、その時が来た場合、核兵器が使用される可能性もゼロではないと思われます。



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