TOPIC 3-4.食糧問題と救援物資

1.飢餓問題について

現在、1分間に約28人(うち子ども21人)、1日に4万人、1年間に1500万人が飢えのために死んでいます。
貧困が難民を生み出す直接の原因ではないとしても、あまりに貧富の差が激しい場合は、人々の間に不平等感が生まれ、それが不信につながって対立を深めていくケースもあります。
世界には飢えた人たちが8億人います。その人たちは、1日にあと 150gの穀物があれば助かると言われています。
では、世界の人口に対して本当に穀物が足りないのでしょうか?1996年のユニセフのデータでは、世界の人口は57億5229万人となっています。それに対して、世界中で作られている穀物の量は約20億トンにもなります。これらを単純に計算すると、一人、360キロくらい食べられることになります。しかし、普通はその半分でも十分足りるのです。日本の私たちの場合は、60年前(第二次世界大戦以前)と比べると、肉類は13.5倍、卵は8.2倍の量を食べるようになりました。そのために家畜用にたくさんの餌が必要です。その餌用のとうもろこしや大豆は、ほとんど(98%)が外国から輸入されているのです。その結果、世界の4分の1の人数(主に先進国の人々)が、世界の穀物の半部以上を消費してしまっているのです。世界全体に十分な食糧がありながら、なお数十万、数百万の人々が飢えるという現代の飢餓は、まさに私たち人間自身が作り出している悲劇なのです。
飢餓が起こる原因として、「食糧不足」「人口増加」「干ばつなどの天災」などが一般的には考えられていますが、これらの通説は「飢餓問題の解決は不可能だ」という悲観論に私たちを導いてしまいます。確かに、古代から人類は干ばつや飢餓と闘ってきました。しかしそれをもって「人類は常に飢餓に苦しんできた。現代の飢餓も避けることができない人類の運命なのだ」と言うなら、それは誤っています。しかし、前述したとおり、飢餓とは人間自身が作り出している悲劇なのですから、我々の努力次第では、飢餓問題を解決することは決して不可能なことではないのです。


2.何をすべきか?

国際飢餓対策機構(FHI)は「世界に広がる飢餓の終結を目指す」というビジョンを掲げています。1981年インドシナ難民救援を契機に活動を開始しました。以来非営利の国際民間援助団体のFHI及びFAO・WFP・UNDP・UNICEF・UNHCRなどの国連の諸機関などとの密接な協力関係の中で、東南アジアをはじめ、中南米、アフリカ諸国の飢餓と貧困に苦しむ人々のもとにボランティアを派遣し、緊急援助、自立開発援助、学校教育援助など、世界的規模の活動を推進しています。そのようにして、飢餓の終結は達成可能な目標であるという確信を明確に表現しているのです。

難民の流出は必ずしも予測できるものではありませんが、経済・政治が安定した状態では難民が発生しにくいことは事実です。 アジアや中南米地域で難民問題が次々と解決しているのも、情況の好転によるものとみられます。「飢餓」の解消には「貧困」の解決が必要なのです。大学ではなく小学校を、ハイテク機器をそろえた大病院ではなく村の診療所を、高速道路ではなく下水処理施設を等、貧困層の人々の日常生活に直接影響を与える援助を必要としているのです。貧困層の人々に行き渡る援助こそが本当に求められている援助なのです。つまり、政治家が作り出す世界で暮らすのではなく、政治家を通して創られた世界に暮らせる世界が理想です。「貧困の無い世界を創ろう」という市民の声を政治に届けることができれば、それは民主主義への大きな一歩ではないでしょうか。


3.救援物資について
「アフリカへ毛布をおくる運動推進委員会」では、アフリカへ毛布をおくる運動を行っています。アフリカでは、干ばつや長引く内戦で土地を追われ、肉親や財産を失った人びとがたくさんいます。高地が大部分を占めるエチオピアなどは、朝晩の気温5度、日中40度以上と、1日の寒暖差が非常に激しい環境です。日本からの毛布は、寒さをしのぐ「コート」や「じゅうたん」となったり、直射日光をさえぎる「屋根」となって、不自由な生活を強いられているアフリカの人びとの"いのちの支え"となっています。また、毛布に縫い込まれた「From your friend(あなたの友人より)」や「Living together(共に生きよう)」といった日本からのメッセージは、毛布を手にした人たちに「生きる勇気」を与えています。
1999年には、コソボ紛争による難民・避難民が厳しい冬を越すための緊急物資として、コソボへ2万枚、その他のセルビア国内へ1万枚の毛布がおくられました。


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