マグニチュードと震度の違い
マグニチュードと震度の違いは電球に例えてみると分かりやすいと思います。
電球には「○○W(ワット)」という値が書いてあります。この値は、電球がどれだけ電力を消費するかを示したもので、この値が大きいほど明るくなります(同じ種類の電球の場合)。
しかし、実際に私たちの明るい・暗いという感じ方は、自分のいる位置にどれだけ光が届くかによって異なります。とても明るい道路の水銀灯でも、何kmも離れたところから見るとただの点にしか見えず、明るさは全く感じられません。反対に、小さな懐中電灯でも、顔に光を当てるととても明るくまぶしく感じます。このようなある地点における明るさは、ワットではなく「lx(ルクス)」という単位で表します。
さて、ここで地震に話を戻すと、ワットという単位がマグニチュードに、ルクスという単位が震度にあたります。いくらマグニチュードが大きな地震でも、その地震が遠くで起こったものであれば、震度は小さなものになります。反対に、マグニチュードが小さくても、その地震を震源の近くで感じれば、震度は大きくなります。
つまり、マグニチュードというのは、地震の規模を表し、震度というのは、各地点において、どのくらいの大きさの揺れが届いたのかを示すものなのです。
図:マグニチュードと震度の関係
震度
震度とは、ある地点での、地震による揺れの度合いを大きさで分類したものです。地震の規模を示すマグニチュードとは異なります。
日本では、揺れの度合いを10階級(0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7)に分けた「気象庁震度階級」というものが使われています。しかし、この震度階級は日本独自のもので、欧米では12階級の「改正メルカリ震度階(MM震度階)」が、国際的には12階級(T”無感”〜]U”景色が変わる”)の「MSK震度階」というものが使われています。
日本では、1996年の階級数の改正までは、震度は8階級で、なんと体感や建物の倒壊率など、測定者によって誤差が生じそうな方法で震度を決めていました。しかし、改正以降は、震度計で測った地震の加速度などから、客観的に決められるようになりました。
マグニチュード
マグニチュードは地震の規模を示す値です。1935年にアメリカの地震学者リヒターが考案しました。
リヒターの定義
リヒターは、震源から100km離れた、特定の種類の地震計が記録した最大の針の振れはばの大きさを、マグニチュードとしました。ただし、実際には、地震計が震源からちょうど100km離れたところにあることはまずないので、距離によってマグニチュードの値を修正していました。
マグニチュードという値を作るときにリヒターが工夫したことは、地震の揺れは小さいものから大きいものまでさまざまなので、最大の振れはばの大きさをそのまま数字で表すのではなく、その数字のケタ数をマグニチュードとしたことです。ですから、巨大地震のマグニチュードも少ないケタ数で表すことができます。
いろいろなマグニチュード
リヒターがマグニチュードを考案した後、マグニチュードの求め方について別の提案があり、目的に応じて、さまざまなマグニチュードが生まれました。これらのマグニチュードは、基本的に同じ地震に対して同じ値になるように考案されたものでしたが、実際にはかなりの差ができてしまいました。
いくつかのマグニチュードについて、次の表で紹介します。
表面波 マグニチュード |
地震計で観測した地震波の周期(波の山が来てから次の山が来るまでの時間)が20秒程度の表面波の最大の揺れと、地震計と震央(震源ではない)との距離からマグニチュードを求める方法。 浅いところで発生した地震について用いるが、地震計の限界によりM8.5以上の値を表せなく、巨大地震の規模を比較するのには向いていない。 日本の気象庁が発表している「気象庁マグニチュード」も表面波マグニチュードの一種 |
実体波 マグニチュード |
地震計で観測した地震波の実体波(P波とS波)の最大の揺れと周期、震源の深さなどからマグニチュードを求める方法。 深発地震の規模を表すために用いられているが、やはりM7以上の値は表現できない |
モーメント マグニチュード |
震源となった断層のずれの量、断層の面積、断層付近の岩盤の性質などの、断層運動からマグニチュード求める方法。 これらの値は、地震波を長い時間観測しなければ求められないので、モーメントマグニチュードは地震速報には用いられない。しかし、どんな大きな地震でも表せるので、巨大地震の規模はモーメントマグニチュードで表されることが多い。
ちなみに、観測史上最大の地震は、1960年のチリ地震で、この地震のモーメントマグニチュードは9.5だった |
津波 マグニチュード |
地震で生じた津波の大きさから求めるマグニチュード。地震の規模の割に津波が大きい、「津波地震」の規模を表現するのに役立つ |
マグニチュードとエネルギー
マグニチュードが1増えると、地震のエネルギーは約32倍になります。2増えれば、エネルギーは32倍の32倍ですから1000倍になります。つまり、M8の巨大地震(1923年の関東大震災を引き起こした関東地震はM7.9)のエネルギーは、マグニチュード6の中規模の地震1000回分に相当することになります。では、マグニチュード8の地震のエネルギーとは、一体どのくらいなのでしょうか。
例えば、おもりを持ち上げるときのエネルギーを考えてみると、M8の地震のエネルギーは7億トンのおもりを10km持ち上げるエネルギーに相当します。また、電力を例にすると、出力175万kWの発電所が1年間に発電する電力に等しいエネルギーです。これは、学校の教室で一般的に使われている40Wの蛍光灯なら約4400万本、約220万教室分の電灯をまかなえる電力です。
マグニチュードの目安
マグニチュードと一般的に呼ばれる地震の規模とは、次のような関係になっています。
マグニチュード |
呼び名 |
(8〜) |
(巨大地震) |
7〜 |
大地震 |
5〜7 |
中地震 |
3〜5 |
小地震 |
1〜3 |
微小地震 |
〜1 |
極微小地震 |
実際の地震のマグニチュードは地震年表をご覧下さい。
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