「きぼう」とは

ここでは、船内実験室と船外実験プラットフォームを利用して、研究者らがいろいろな実験を行う予定です。それでは、これらについて、詳しく見ていきましょう。

船内実験室
ここには、次のようないろいろな器具が設置され、「きぼう共通実験装置」という機器を使ってそれらの器具、そして実験全般を支援していきます。研究者のいろいろな要求に対応し、それぞれの実験に有効活用できるように、工夫して作られています。

実験専用ラック
日本の実験器具を収納するため専用のラック。5つあるります。

冷凍・冷蔵庫ラック
事件資料や薬剤を保管するためのラック。

保管ラック
実験資料や機器などを保管するためのラック。

船外実験プラットフォーム
「きぼう曝露実験ペイロード」という取替え可能な実験室のようなものを利用して、宇宙環境そのものを利用した船外実験を行うための場所です。

きぼう曝露実験ペイロード
大きさは、1.85m×0.8m×1.0mで、重さは約500kg。「H-JIAロケット」というロケットを利用した日本独自の補給機、もしくはスペースシャトルを使って、宇宙ステーションまで運ばれ、とりつけられます。船外実験プラットフォームには、同時に10個まで(現在開発しているのは、そのうち4個)、このペイロードを取り付けることが可能です。運用開始後は、ロボットアームを利用して、必要に応じてこれを交換し、より多くの実験室が提供されることになります。

きぼうの開発状況

基本設計は、3年間をかけて、実物とほぼ同じ構造になっているEM(Engineering Model)を使って、繰り返し繰り返し実験を行います。その結果、問題がなければ、その研究の結果を使って、今度は実際に宇宙に飛ばすためのフライトモデルの設計を行い、完成後は、またさらに実験を重ねます。その実験の手順は、現在終了したものを含めて下のようになっています。

(c)NASDA

1.開発の基礎試験

開発する上で重要な、構造や電子回路などの基本的な設計のやり方を確認するために、実物大の模型や宇宙に飛ばす目的ではない簡易モデルを作って、必要な情報を取得しました。

2.EMの製作試験

EM製作試験の段階では、設計や製造方法が、技術の要求にあった構造・機能を作るのに適していることを確認するために、実際に宇宙を飛ばすフライトモデルに近い形態のEMをつくり、より厳しい試験を実施して必要な情報を取得しました。これらの試験は、1998年10月に、筑波宇宙センターにおいて実施された、それぞれの部品を結合した「全体システム試験」を最後に、終了しました。

3.PFM製作試験

ここでは、EM試験でその現実性が証明された設計方法や製造方法を使って製作された、国際宇宙ステーション本体に取り付けられる、実機モデルが製作されます。そして、それを使って、実際に運営される時と同じ条件のもとで、材料や製造上の不備がないかどうかをもう一度確認するために、各種の試験が行われます。現在の研究は、この段階にあります。

4.システム試験

各パーツごとの検査証明が終了すると、それらを全て筑波宇宙ステーションに集めて組み合わせます。それから、国際宇宙ステーション本体に取り付けられた軌道上での動きを再現して、きぼう全体の機能・性能を最終的に確認するため、全体のシステム試験が行われます。機能・性能の試験としては、これがやっとラストになります。

5.打ち上げ試験

「きぼう」は、3回に分けて、スペースシャトルによって打ち上げられます。このための、打ち上げ試験を行います。

6.運搬

全てのパーツは、アメリカのケネディ宇宙センターに運搬されます。予定としては、船内保管室は2002年9月、きぼうの船内実験室とロボットアームは2002年9月、船外実験プラットフォームと船外パレットは2003年3月に運搬されることになっています。

打ち上げ!