チャレンジ大学入試問題解答

大学入試問題の解答解説になっています。問題文の全訳からHTML化しました。
問題を解いて、もしくは考えてみた後には、
この解答解説を使って答え合わせをしましょう。どれだけこのHPがヒントになったでしょうか?


◎チャレンジ大学入試問題「一寸法師」解答解説

【通訳】
それほど古くないことであるが、摂津の国難波の里に、翁と嫗がおりました。嫗が四十の年になるまで、子供がないことを悲しみ、住吉大明神にお参りし、子供がない(のでお授けください)お祈り申し上げると、大明神もかわいそうになお思いになって、(嫗が)四十一と申す年に、普通ではない身体(身ごもること)になったので、翁はこの上なく喜んだ。やがて十か月目になりまして、(嫗は)かわいい男の子を出産した。
 しかし、生れ落ちてからも、背丈が一寸しかなかったので、そのまま(翁は)その名を一寸法師と名付けなさった。年月が経つうちに、はや十二,三歳となるまで育てたが、背も人並みでない。しみじみ思ったことには、(この子は)ただ者ではない。全く化け物のような者でございます。私達はどんな罪の報いのために、このような物を住吉大明神から授かったのか、ひどいことだと,傍目にも気の毒である。夫婦が思ったことに、あの一寸法師めをどこへでもやってしまいたいものだと思っていると申すと、すぐに一寸法師は、このことを知り、親にもこのように思われるのも残念なことだな。どこへでもいってしまいたいと思い、刀がなくてはどうしようかと思い、針を一本嫗にお求めになると、取り出してきてお与えになる。そこで麦わらで柄と鞘をこしらえ、都へ上りたいと思ったが、万一舟がなくてはどうしたらよかろうと思って、また嫗に、椀と箸を下さいといって申し受け、(両親が)名残惜しいと引き止めたけれど、出発してしまった。住吉の浦から椀を舟として打ち乗って、都へ上った。
   (中略)
 こうして年月を送るうちに、一寸法師は十六歳になったが、背は元のままである。ところで宰相殿には十三歳におなりになる姫君がいらっしゃいます。御容貌がすぐれておりますので、一寸法師は、姫君を拝見したときから思いが募り、何とかして策をめぐらし、自分の女房にしたいと思い、あるとき貢ぎ物の米を取って茶袋に入れ、姫君が寝ていらっしゃると時に、計略をめぐらし、姫君のお口に(米粒を)ぬりつけ、茶袋だけを持って泣いていた。宰相殿がご覧になって、お尋ねになったので、
「姫君が、私がこれまで集めておきました米をお取りになりお食べになったのでございます」と申し上げると、宰相殿はたいそうお腹立ちになりましたところ、案の定、姫君のお口に(米粒が)ついている。まさしくうそいつわりではない、このような者を都においてどうしようか。何とかして居ない者としてしまおうとお思いになって、一寸法師に仰せつけなさる。一寸法師が(姫君に)申し上げたことに、私の物をお取りなさいましたので、どうとも取り計らうようにということであったと、心の中でこの上なく嬉しく思った。姫君はただ夢のような気持ちでがして、呆然としていらっしゃった。一寸法師が早く早くと促し申しあげるので、闇の中へ遠く行く気分で、都へを出て足に任せてお歩きになる、その御心の中は推し量られ(哀れで)ございます。


【解答】
【問一】 (1)=3 (2)=5 (3)=4
(4)=4 (5)=3 (6)=1
(7)=2 (8)=4 (9)=5
【問二】 わらは
【問三】 あくどい策略を使って宰相殿をだまし、姫を自分のものにした。(二九字)

◎チャレンジ大学入試問題「一寸法師」解答解説・終り

解答はこれでお終いです。面白い問題でしたね。きっと、中学生でも、このHPで古文について、一寸法師について勉強をしてくれた方は中々得点の出来る問題だったのではないでしょうか。

これで、高校生向け、としてのメニューは全て終りです。長らくお付き合いいただき有難う御座いました。
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