青函トンネルの軌道構造は、全長にわたり精度の高さと保守の省力化を考えたスラブ軌道で構成されています。 また将来の新幹線開通のために、同一線上を在来線と新幹線が通れるように外側レールを共用とする3線式軌道を採用して、それに対応する軌道スラブ及びレール締結装置を設計しました。 海底部は海水に近い塩分を含んだ漏水があるため、それによって腐食が早まらないような対策を施しました。海水の影響を受けると予想される海底部分(23.3km)とそれぞれの両端から1kmほど陸地に広げた25,3kmを、軌道工事における海底部と設定しました。 海底部の塩水対策として、中庸熱セメントを用いたプレストレストコンクリートの軌道スラブ、、中庸熱セメントを用いたセメントアスファルトモルタル、耐食性のレール締結装置を使用して、それ以外の陸地部は従来通りの材料を使用しました。 軌道工事の施工は、軌道基地が本州側と北海道側の坑口付近に1箇所しか設置できなかったので、本州側が0〜24.4kmまで、北海道側が24.4km〜53.849kmまでという、とても長い期間を工区としました。そのため、軌道の施工法は、土木、電気工事との競合、工期が短いなどの理由から急速大量施工が要求されました。このため、本線用レールを路盤に直結し、仮軌道とする仮設材料を少ない走行レール法(複線用)を採用しました。 さらに渡り線を設置することで、他の工事との併行作業を可能として、予定の工期までに完了させました。 なおこの施工には、上越新幹線建設のときに用いた機械を採用しました。
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