沖縄音楽について

沖縄音楽(前半 / 後半

 今日、「沖縄音楽」と一口に言っても、大きく3つのジャンルに分けることが出来る。現在の沖縄県が「琉球王国」だった頃の伝統を受け継ぐ「古典音楽」、庶民の間で生まれ広まりそして受け継がれていった「民族音楽」、そして沖縄音楽としてもっとも広く認知されている「大衆音楽(ポピュラーミュージック)」である。これら3つの大きな共通点は、「三線(サンシン:楽器の名前)」と「沖縄音楽特有の音階」である。この2つの共通点が沖縄音楽そのものだと言える。このページでは、沖縄音楽の本質である三線と音階について説明した後、沖縄音楽の3つのジャンルについて解説してゆきたいと思う。

沖縄民謡のCD「七月エイサー」( マルクレコード・1990年発売)

 沖縄民謡の醍醐味はやはりは「エイサー(沖縄の盆踊り)」であろう。そこでお勧めするのがこの一枚である。このCDの目玉は、なんといっても「沖縄島歌の神様」と呼ばれる嘉手納林昌が歌と三味線で参加していることであろう。沖縄民謡の入門一枚目になることうけあい!

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〜三線について〜

 みなさんは、日本の代表的な弦楽器である「三味線」をご存知だろう。実は、これから紹介する沖縄の民族楽器「三線」は、三味線のオリジナルなのである。三線は、14〜15世紀頃に中国から沖縄に伝わり、琉球・沖縄で幾多の改良がなされ、現在の三線となった。ちなみに、「三味線」は三線が本州に伝わり、独自に進化していった楽器のことを言う。

 三線は、三味線と同じく「絃」と「棹」と「胴」で成り立っている。しかし、胴の部分に犬や猫の革を使用する三味線と違い、三線の胴には蛇の皮が使われている。このことから、三線は「蛇皮線」とも呼ばれる。また、奏法の面でも三線は三味線と大きく異なる。三線は「弦をばちではなく爪ではじく」のである。ちなみに、この「爪」とは人間の爪のことではなく、水牛の角でできている「爪」という道具をさす。

 三線は昔から「一家の家宝」として日本本州における宝刀と同じような扱いをされた。三線がある家は音楽に理解がある家とされていたようだ。また当時は、蛇の皮がとても高価で、胴に紙などの代用を張っている三線も多かったので、蛇革の三線のある家は生活に余裕がある象徴とされていた。このように、三線は人々の生活や文化とも深く関わっていた楽器で、沖縄音楽に欠かせないのだ。

沖縄の「三線」

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〜沖縄音楽の音階について〜

 沖縄音楽には、聞いただけですぐにそれと分かる独特な音階が使われている。この音階は「琉球音階」とよばれ、「ド・ミ・ファ・ソ・シ」の5つの音で構成される。例外として、音程が下がるメロディーにおいてレの音が使われることもある。

 この音階の特徴は、なんといっても「ド→ミ」・「ソ→シ」の長3度音程と、それに加えてポピュラー音楽やクラシックにも使われるいわゆる“メジャースケール”の特徴である半音の音程である「ミ→ファ」・「シ→ド」が組み合わさっていることである。いくつかの例外はあるのだが、この音階が使用される事によって「沖縄音楽らしさ」が強まってくる。

 ちなみに、この5音の音階は沖縄だけに存在するものというわけではなく、インドネシアや中国の一部でも使われているらしい。よって、この音階については「沖縄独自のもの」というより「東アジア独自のもの」という解釈が正しいだろう。

沖縄音階を聞いてみよう!


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