大気汚染・酸性雨

原因と現状

 化石燃料を消費する工場や自動車から排出された硫黄酸化物(いおうさんかぶつ)窒素酸化物(ちっそさんかぶつ)が大気中で紫外線をあびることによって化学反応を起こして硫酸や硝酸などの強い酸になります。すると、これらの酸性物質は遠くに運ばれ、そのまま沈下(乾性沈下(かんせいちんか))したり、雨に溶けて地表に降り注ぐ酸性雨になったりします。
酸性雨(pH<5.6)は、物を溶かしていきます。ヨーロッパの多くの国では森林が枯れ、魚が死滅したり激減したりする湖沼が多く見られます。銅像が溶けて涙を流す銅像と言われているものも酸性雨の影響です。世界の代表的な建造物『自由の女神』や『パルテノン神殿(アテネ)』、『ケルン大聖堂(ドイツ)』なども酸性雨により腐敗(ふはい)を受けています。

問題

 日本では、70年代の四日市ぜんそくなどの公害病が起きたために、大気汚染への対策は比較的早いものでした。しかし、日本には未だに多くの酸性雨が降っています。これは、中国の工場で排出された大気汚染物質が雲に乗って日本に入ってきているからなのです。酸性雨はエネルギーの問題に関わっていると共に、国家間の問題ともなっているのです。

対策

 ヨーロッパでは、酸性化した湖に石灰をまいて中和する作業が行われています。高効率な自動車のエンジンの開発も重要視されています。(下のコラム参照)



コラム*ディーゼル車?ガソリン車?
環境によい車、と聞いたらどちらを浮かべますか?実は、大気汚染を考えるとガソリン車の方がよく、温暖化を考えるとディーゼル車の方がいいと言われているのです。
大気汚染を引き起こす大きな原因がディーゼル車から出る汚染物質です。しかし、同じ二酸化炭素排出量ならガソリン車よりもディーゼル車の方が輸送距離が長いのです。
高効率で輸送距離の長いエンジンを作ることが求められています。
最近、燃料電池というものを使った水素で動く自動車が開発されています。これは、水素と酸素から水を作る過程で出るエネルギーを使用するもので、水素や酸素は環境には害はありません。コストの問題等を乗り越えれば、この燃料電池自動車が多くの問題を解決する第一歩となるでしょう。
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