12番
出典:「古今集」より
天
あま
つ
風
かぜ
雲
くも
の
通
かよ
ひ
路
ぢ
吹
ふ
きとぢよ をとめの
姿
すがた
しばしとどめむ
僧正遍昭
そうじょうへんじょう
■口語訳
空を吹き渡る風よ。どうか、雲の中にあるという、 天に通じる道をふさいでおくれ。
舞い終わって、天に帰って行くおとめたちの姿を、 もうしばらく、ここにひきとめておきたいから。
■作られたワケ
遍照がまだ仁明天皇に仕えていた頃、宮中で五節の舞(宮 中で毎年十一月に行われる儀式での踊り)がありました。
「なんと美しい娘たち。引き止め ておくことはできないだろうか。」そうおもった遍照は、風に呼びかけてみたのでした。
■作者プロフィール
僧正遍昭(816〜890)
僧になる前の名前は良岑宗貞。
仁明天皇に仕えていましたが、三五歳のとき、 天皇がなくなると、嘆きかなしんで比叡山に登り、出家しました。
六歌仙・三十六歌仙のひとり。