14番
出典:「古今集」より
陸奥
みちのく
の しのぶもぢずり たれゆゑに
乱
みだ
れそめにし
我
われ
ならなくに
河原左大臣
かわらのさだいじん
■口語訳
陸奥のしのぶもじずりの乱れ模様のように、 わたしの心はひどく思い乱れています。こんなになったのは、いったいだれのせいでしょう。 わたしのせいではありません。みんなあなたのせいですよ。
※しのぶもぢずり・・・福島県の旧信夫郡あたりで、乱れ模様に染められた布のこと。 家の周りをこれで覆った。
■作られたワケ
ある日、五日前に会った恋人から手紙がきました。 「やれやれ。この歌でもあげれば気がすむだろう。」と思いこの歌を作ったそうです。
■作者プロフィール
河原左大臣(822〜895)
源 融。
みなもとのとおる
嵯峨天皇の皇子でしたが、皇族をはなれ、源の姓を もらいました。左大臣になり、京都六条の河原院に住んだので、河原左大臣とよばれました。 宇治の平等院は、源融の別荘だったものです。