15番
出典:「古今集」より
君
きみ
がため
春
はる
の
野
の
に
出
い
でて
若菜
わかな
つむ
我
わ
が
衣手
ころもで
に
雪
ゆき
は
降
ふ
りつつ
光孝天皇
こうこうてんのう
■口語訳
あなたにさしあげようと思って、春の野に出て若菜を摘んでいました。 ふと空を見上げると,春だというのに,雪がちらちらと降ってきて、わたしの着物の袖に散りかかっていることです。 それでも、あなたのことを思い浮かべると寒さなどけっして気になりません。
■作られたワケ
不遇の時をすごしたことのある光孝天皇は、即位後 も野草つみにでかける気さくな人でした。春、はこべやなずながたくさんある野を見たら 、夢中で摘みはじめたそうです。奥さんのためにネ。
■作者プロフィール
光孝天皇(830〜887)
五五歳のとき、陽成天皇にかわって即位しましたが、わずか四年でなくなりました。幼い頃から頭がよく、学問の好きな 天皇として知られ、「仁和の帝」「小松の帝」などとよばれました。