16番
出典:「古今集」より
立
た
ち
別
わか
れ いなばの
山
やま
の
峰
みね
に
生
お
ふる まつとし
聞
き
かば
今帰
いまかへ
り
来
こ
む
中納言行平
ちゅうなごんゆきひら
■口語訳
おまえと別れて、わたしは因幡国(鳥取県)へ行くけれど、その因幡国の稲葉山の峰にはえて いる「まつ」のように、おまえがわたしを待ちこがれていると聞いたならば、都へとんで帰って来よう。
※まつとし聞かば・・「まつ」は、松と、「待つ」のふたつの意味がある。
■作られたワケ
行平は、三八歳のとき因幡の国司に任命されましたが、 恋人がいました。その恋人が行平と別れることをたいへん悲しんでのでこの歌を送って 慰めたそうです。
■作者プロフィール
中納言行平(818〜893)
在原行平。平城天皇の孫で、業平の兄にあたります。業平とおなじように情熱的な貴公子だったようですが、役人として 弟よりもはるかにんいすぐれ、中納言から正三位民部卿にまでのぼりました。