18番
出典:「古今集」より
住
すみ
の
江
え
の
岸
きし
に
寄
よ
る
波
なみ
よるさへや
夢
ゆめ
の
通
かよ
ひ
路
ぢ
人目
ひとめ
よくらむ
藤原敏行朝臣
ふじわらのとしゆきあそん
■口語訳
住の江の岸にうち寄せる波のように、昼も夜もわたしはあなたに 会いたいのだ。それなのに、昼ばかりでなく、夜見る夢の中でさえも、どうしてあなたは人目をはばかって、 会ってくれないのですか。
■作られたワケ
ある日御所で歌会が開かれ、敏行も招かれました。でも、 敏行はなかなか恋の歌が作れません。「だいたいあの女が私に冷たいからだ。」と思った 瞬間、この歌ができたそうです。
■作者プロフィール
藤原敏行朝臣(?〜907)
平安時代のすぐれた歌人であると同時に、書道の大家としても有名です。三十六歌仙のひとりで、 『古今集』の「秋きぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる」が代表作。