19番
出典:「新古今集」より
難波潟
なにはがた
短
みじか
き
芦
あし
の ふしの
間
ま
も あはでこの
世
よ
を すぐしてよとや
伊勢
いせ
■口語訳
難波潟(大阪付近の海)の入江に押し茂っている芦の、 短いふしとふしの間のように、ほんの短い間でもお会いしたいのです。それなのに、そ れさえかなわずいつまでもこの世を過ごしていけと、あなたはおしゃるのでしょうか。それでは つらすぎます・・・。
■作られたワケ
伊勢は仲平と愛し合っていましたが、仲平は最近違う人に 心を移していてなかなか伊勢と会いませんでした。言い訳で「仕事で・・・。」という手紙を伊 勢にだしました。伊勢はその手紙に対してこの歌を詠みました。
■作者プロフィール
伊勢(877〜939)
伊勢守藤原継蔭の娘。宇多天皇のきさき温子に女官として仕えていましたが、 天皇に愛されて皇子を生みました。また、敦慶親王やきさきの弟の藤原仲平にも愛されるなど、 恋多き才女でした。