2番
出典:「新古今集」より

はるすぎて 夏来なつきにけらし 白妙しろたへの             ころもほすてふ あま香具山かぐやま 
持統天皇じとうてんのう

■口語訳

春が過ぎ去り、いつのまにか夏が来てしまったようです。夏に なると、白い夏の着物をほすならわしがあるという天の香具山に、あんなに点々と、白い衣が ほしてあるのが見えます。(この歌は、香具山に降り積もった雪を、白い衣に見立ててつくった 歌だという説もあります)
※衣ほすてふ(チョウ)・・・「衣をほすという」の意味。

■原歌 万葉集について

この2番の持統天皇と4番の山部赤人の歌は、藤原定家が「新古今集」から選びましたが、 その原歌は「万葉集」で、
春すぎて 夏きたるらし 白栲しろたえの 衣したり あめの香具山
となっています。

■作られたワケ

藤原京は、大和三山(耳成山・香具山・畝傍山)のちょうど真中にありました。 ある日、香具山に夏衣がほしてあったので「もう夏がきたのね」と思って作ったそうです。

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■作者プロフィール

持統天皇(645〜702)
天智天皇の第二皇女。おじの天武天皇の皇后となりましたが、夫の死後、即位して持統天皇となり、 都を飛鳥から藤原京(奈良県橿原市)に移しました。「万葉集」の歌人としても有名です。

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