20番
出典:「後撰集」より

わびぬれば いまはたおなじ 難波なにはなる             みをつくしても わむとぞおもふ 
元良親王もとよししんのう

■口語訳

あなたにお逢いできなくて、こんなにつらい思いを しているのですから、もうどうなってもおなじことです。いっそ、あの難波潟の「みをつくし」 ということばのように、この身をつくし(ほろぼし)ともいいから今一度、あなたにお逢いしたいと思います。
※みをつくし・・・「身を捨てて」という意味と、船の道しるべの 「澪標」のふたつの意味がある。

■作られたワケ

元良親王は宇多上皇の后・京極御息所と愛し合っていました。 しかし二人の仲は、宇多上皇に知られて引き裂かれてしまいました。元良は「京極さまにもう一度会 いたい」と思ってこの歌をを作ったそうです。

■作者プロフィール

元良親王(890〜943)
陽成天皇の皇子で、和歌の才能にすぐれ、情熱的な歌をよむ歌人として知られます。 また、多くの女性たちと恋愛し、それらの女性と恋の歌をやりとりしています。


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