27番
出典:「新古今集」より
みかの
原
はら
わきて
流
なが
るる いづみ
川
かわ
いつ
見
み
きとてか
恋
こひ
しかるらむ
中納言兼輔
ちゅうなごんかねすけ
■口語訳
みかの原をふたつにわけて、わき出して流れるいずみ川よ。その、いずみ川の名のように、 その人をいつ見たといっては、わたしの心は、その人を恋しく思ってしまう。 ほんとうは、まだ一度も会ったことなどないのに。それでも、とにかくその人に会いたいのです。
※みかの原・・・京都府相楽郡を流れる木津川の北岸あたりのこと。
■作られたワケ
兼輔の友達たちの間では、若狭守の娘の姫君の噂でもちきりで す。兼輔もその噂を聞いて「会ってみたいな。」と思うのですが、なかなか会えません。恋心を 募らせた兼輔はこの歌を作ったそうです。
■作者プロフィール
中納言兼輔(877〜933)
藤原兼輔。やしきが賀茂川の堤にあったので、堤中納言ともよばれました。和歌にすぐれ、 紀貫之などの歌人とも親しく交際していました。三十六歌仙のひとりです。