28番
出典:「古今集」より
山里
やまざと
は
冬
ふゆ
ぞさびしさ まさりける
人
ひと
めも
草
くさ
も かれぬと
思
おも
へば
源宗于朝臣
みなものむねゆきあそん
■口語訳
山里の景色や暮らしは、いつの季節でもさびしいけれど、 冬はことにさびしさが身にしみて感じられるなあ。たずねて来てくれる人もとだえ、心をなぐさめてくれた 草もかれはててしまうと思うと・・・。
■作られたワケ
「私には山里の暮らしが一番合っているなあ。でも都から誰か友 達でも尋ねてきてくれないだろうか・・・。寂しいなあ。」そう考えていた宗于の上に雪が降ってき ました。「雪だ。これじゃあ誰も来てはくれないだろう。」そう思いながらこの歌を作ったそうで す。
■作者プロフィール
源宗于朝臣(626〜671)
光孝天皇の孫。皇族を離れ、源という姓になりましたが、官職にはめぐまれず、 正四位下右京太夫に終わりました。三十六歌仙のひとりで、『古今集』などに十五首 の和歌を残しています。