29番
出典:「新古今集」より
心
こころ
あてに
折
お
らばや
折
お
らむ
初霜
はつしも
の おきまどはせる
白菊
しらぎく
の
花
はな
凡河内躬恒
おおしこうちのみつね
■口語訳
もし折るとしたら、あてずっぽうに折れば、折ることができるだろうか。 初霜の一面にまっ白におりて、どれが花か霜か、見わけをつかなくしている白菊の花を・・・。
■作られたワケ
弟子に歌の作り方を教えていた凡河内。「想像力をはたらかせて詠め」といってもなかなか弟子 はわかっていません。そこで、凡河内は庭に咲いている菊に霜が降りているのを想像して、この歌を作ったそうです。
■作者プロフィール
凡河内躬恒(?〜?)
平安時代の人ですが、くわしい伝記などはわかりません。役人としての官職は低かったけれど も、歌人としては紀貫之とならぶほどの名声があり、『古今集』の選者のひとりです。