3番
出典:「拾遺集」より

あしびきの 山鳥やまどりの しだりの             ながながしを 一人ひとりかもむ 
柿本人麻呂かきのもとのひとまろ

■口語訳

夜はおすとめすが、谷を隔てて離れ離れに寝るという山鳥・・・。 その山鳥の長く垂れ下がった尾のように長い長い夜を、この私もまた、あなたと離れて一人さび しく寝るのだろうか。私は片時もあなたと離れずにいたいと思うのに・・・。

■作られたワケ

人麻呂には、密かに思いを寄せる人がありました。しかしその人 は帝に仕える人でしたので、愛していることが知れたら重い罪に問われてしまいます。人麻呂は そのことを悲しんで、この歌をつくったそうです。

■作者プロフィール

柿本人麻呂(?〜?)
持統・文武の両天皇に仕えた宮廷歌人ですが、その一生は謎に包まれています。「万葉集」 を代表する歌人で、天皇をたたえる歌や、優れた挽歌(死んだ人を悲しむ歌)・相聞歌(互いにや り取りをする歌。恋の歌が多い)などをたくさん残しています。

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