30番
出典:「古今集」より

有明ありあけの つれなくえし わかれより          あかつきばかり きものはなし 
壬生忠岑みぶのただみね

■口語訳

あのときも夜明けの空に、有明の月がつれなくのこっていました、あの朝、あなたと別れてから、 お会いすることもなく、長い年月がたってしまいましたが、わたしには今でも、有明の月のかかる夜明けほど、つらいものはありません。 あなたと別れた明け方のことが思い出されてしまうのです。
※有明の月・・・夜明けになっても、まだ空にのこっている月のこと。

■作られたワケ

忠岑には好きな人がいましたが、そのひとは忠岑をふって違う人と 結婚してしまいました。ふられて別れた日に有明の月が出ていたので、「つらいよ」といってこの歌を作ったそうです。

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■作者プロフィール

壬生忠岑(?〜?)
壬生忠岑は、『古今集』の選者で、三十六歌仙のひとり。平安時代前期の代表歌人ですが、官位は低く、 六位どまりでした。『百人一首』を選んだ藤原定家も、忠岑のこの歌をいい歌だとほめています。

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