31番
出典:「古今集」より
朝
あさ
ぼらけ
有明
ありあけ
の
月
つき
と
見
み
るまでに
吉野
よしの
の
里
さと
に
降
ふ
れる
白雪
しらゆき
坂上是則
さかのうえのこれのり
■口語訳
ほのぼのと東の空が明けはじめる頃、戸をあけてあたりを見わたしてみた。
すると 、まるで有明の月の光がさしているのではないかと思われるほど、まっ白に、この吉野の山里に降 降りつもっている白雪よ。
■作られたワケ
ある年の冬、是則は役人として吉野へ出かけました。明け方、外の様子がやけに明るい ので「もう夜が明けたのか」と思って、外に出るとそこには雪がありました。「わあ雪だ」と思った是則は、宇多天皇に 歌をさしあげようとおもったのです。
■作者プロフィール
坂上是則(?〜930)
平安時代初期の人で坂上田村麿の四代目の孫にあたりますが、あまり出世はしませんでした。 歌人としては三十六歌仙のひとりにくわえられ、また、蹴鞠の名人だったとも伝えられています。