34番
出典:「古今集」より
たれをかも 知る
人
ひと
にせむ
高砂
たかさご
の
松
まつ
もむかしの
友
とも
ならなくに
藤原興風
ふじわらのおきかぜ
■口語訳
むかしの友だちがつぎつぎになくなってしまった今、 年老いたわたしは、いったいだれを友だちにして生きればいいのだろう。 たのみにした高砂の松さえ、むかしからの友だちではないのだからなあ。
※高砂の松・・・「高砂」は、兵庫県高砂市。松の名所として有名。
■作られたワケ
ある日、興風の友だちが死んでしまいました。「もう歌をつくっても詠んでくれる友だちがいない。今 わたしの心を慰めてくれるのは高砂の松くらいかもしれない・・・。」そう思ってこの歌を作ったそうです。
■作者プロフィール
藤原興風(?〜?)
『歌経標識』という日本でいちばん古い歌論の本の著者、 藤原浜成のひ孫。官位は低かったが、歌人としては有名で、三十六歌仙のひとりです。 また、琴の名手としても知られていました。