37番
出典:「後撰集」より
白露
しらつゆ
に
風
かぜ
の
吹
ふ
きしく
秋
あき
の
野
の
は つらぬきとめぬ
玉
たま
ぞ
散
ち
りける
文屋朝康
ぶんやのあさやす
■口語訳
朝草の上に、水晶の玉のような白露がおりている秋の野。 その秋の野に、朝の風がしきりに吹き寄せるたびに、糸にとおしてつなぎとめてない水晶の玉が、 きらめきながら散りこぼれていることよ。
※風の吹きしく・・・風がひっきりなしに吹いているようす。
■作られたワケ
まだ朝康が弟子の頃、「庭の秋草の葉の白露を詠んでみよ。」と言われました。朝康は雫が光るのを見て、この歌を作ったそうです。
■作者プロフィール
文屋朝康(?〜?)
文屋康秀の子ですが、くわしい伝記はほとんどわかっていません。
身分はそれほど高くない官吏だったようですが、歌人としてはかなり有名で、「寛平御時后宮歌合」 などで活躍しています。