39番
出典:「後撰集」より
あさぢふの をのの
篠原
しのはら
しのぶれど あまりてなどか
人
ひと
の
恋
こひ
しき
参議等
さんぎひとし
■口語訳
まばらに茅(ちがや)がはえているさびしい篠原。 そのしのということばのように、あなたへの思いをじっとてえしのんでいましたが、もうたえきれません。 どうしてこんなにあなたが恋しいのでしょう。
※あさぢふ・・・茅(ちがや/野原や道ばたにはえてるイネ科の植物)がまばらにはえている場所。
■作られたワケ
等には好きな女性がいましたが、相手は等の気持ちを知りません。「愛を告白しよう!」と思った等ですが、 なかなかいい歌ができません。そこで、古今集の「あさぢふの をのの篠原 しのぶとも 人知るらやめ いうひとなしに」の歌を真似て この歌を作ったそうです。
■作者プロフィール
参議等(880〜951)
姓は源。嵯峨天皇のひ孫にあたる人で、従四位大宰大弐から正四位参議にまですすみました。 歌人としてはあまり知られておらず、『後撰集』に四首の歌がのっているだけです。