40番
出典:「拾遺集」より

しのぶれど いろでにけり こひは             ものおもふと ひとのとふまで  
平兼盛たいらのかねもり

■口語訳

あの人を恋しく思う気持ちを人に知られないように、わたしは長い間じっとおさえて、 つつみかくしていました。しかし、とうとうかくしきれずに顔色に出てしまいました。 「近頃だれかを恋していらっしゃるようですね」と人がたずねるまでに・・・・。

※色に出にけり・・・顔色に出てしまった、という意味。

■作られたワケ

村上天皇の頃、歌合せが行われました。兼盛はこの歌で壬生忠見の歌(この歌も百人一首です) と対決しました。どちらもいい歌でなかなか勝敗が決まりませんでしたが、天皇がこの歌を小さく口ずさんだので、この歌が勝ちました。 この歌を作ったそうです。

10.html
■作者プロフィール

平兼盛(?〜990)
光孝天皇の子孫ですが、父の篤行のとき皇族をはなれ、平の姓をもらいました。 三十六歌仙のひとりです。「天徳四年内裏歌合」のときの、この歌をめぐるエピソードはむかしから有名です。

もどる