43番
出典:「拾遺集」より
あひみての
後
のち
の
心
こころ
に くらぶれば むかしは
物
もの
を
思
おも
はざりけり
権中納言敦忠
ごんちゅうなごんあつただ
■口語訳
ゆうべ、あなたとふたりきりでお会いしたあとの、今のこの 苦しさとくらべたら、会いたい会いたいと思っていた頃の恋のつらさなんか、なにも物思いを しないのとおなじようなものでした。
※後の心・・・ふたりが会った後、恋しさがつのり、いつでも会いたいと 思う気持ち。
■作られたワケ
敦忠には右近という彼女がいました(この人も百人一首に載ってい ます)。その人と逢引きしたときにのこの歌を作ったそうです。
■作者プロフィール
権中納言敦忠(906〜943)
左大臣藤原時平の三男。
蔵人頭・参議をへて、九四二年、従三位中納言になりましたが、翌年 病気のために三八歳で死にました。
三十六歌仙のひとりで、琵琶がじょうずでした。