45番
出典:「拾遺集」より
あはれともいふべき
人
ひと
は
思
おも
ほえで
身
み
のいたづらに なりぬべきかな
謙徳公
けんとくこう
■口語訳
あなたに見すてられたわたしを、「ああ、気のどくに」と同情してくれそうな人も、今はありそうに思えません。 わたしはこのまま、あなたを恋こがれながら、自分の身がむなしく消えて死んでいく日を 、どうすることもできずに、ただまっているだけなのですよ。
※身のいたづらに・・・わたしがむなしく死んでしまうにちがいないという意味。
■作られたワケ
摂政関白・藤原氏の家系に生まれた伊尹は思いのまま 人生です。でも、好きな女の人はちっとも伊尹を好きじゃありません。イライラしながら伊尹は 「死んでしまいますよ」と脅しをだしてこの歌を送ったそうです。
■作者プロフィール
謙徳公(924〜972)
藤原伊尹。九条右大臣師輔の長男で、関白兼家の兄にあたります。 娘懐子の生んだ皇子が天皇になったおかげで、摂政太政大臣になりました。和歌所別当(長官)として、『後撰集』をまとめました。