47番
出典:「拾遺集」より
八重葎
やえむぐら
しげれる
宿
やど
の さびしきに
人
ひと
こそ
見
み
えね
秋
あき
は
来
き
にけり
恵慶法師
えぎょうほうし
■口語訳
葎などのざっそうが、幾重にも生いしげっているこんな荒れはてたやしきには、人はだれもたずねて来ない。 これでも秋という季節は忘れずにやってきて、さびしい色をそえることだなあ。
■作られたワケ
恵慶法師は河原左大臣源融(この人も百人一首に載っています)の別荘にやってきました。しかしそこ は荒果てていてとても「別荘」とは思えません。そこでこの歌を作ったそうです。
■作者プロフィール
恵慶法師(626〜671)
平安時代の中頃の人で、播磨国(兵庫県)の国分寺の僧だったといわれます。 平兼盛・源重之・安法法師ら、都にいる歌人たちとも親しく、すぐれた自然の歌を たくさんつくっています。