48番
出典:「詞花集」より
風
かぜ
をいたみ
岩
いは
うつ
波
なみ
の おのれのみ くだけて
物
もの
を
思
おも
ふ
頃
ころ
かな
源重之
みなもとのしげゆき
■口語訳
あまりに風がはげしいので、岩にうちつける波が、 自分ひとりだけでくだけ散ってしまうように、あなたがひどくつれないので、 わたしは苦しい恋の思いに、心がくだけ散るばかりのこの頃です。
※風をいたみ・・・風がはげしいので。
■作られたワケ
この歌は恵慶法師がまだ天皇に仕えていた頃の歌です。海の歌 と恋の歌を掛け合わせた歌です。波は自分自身のことを、岩は思いが届かない女性のことをあら わしています。
■作者プロフィール
源重之(?〜1000)
清和天皇のひ孫で父は源兼信。冷泉天皇に仕え、左近将監、相模権守などをつとめました。 九州から東北まで全国各地を旅して、旅の歌をたくさん残しています。三十六歌仙のひとり。