49番
出典:「詞花集」より
みかき
守
もり
衛士
ゑじ
のたく
火
ひ
の
夜
よる
はもえ
昼
ひる
は
消
き
えつつ
物
もの
をこそ
思
おも
へ
大中臣能宣朝臣
おおなかとみのよしのぶあそん
■口語訳
みかき守(御所の門を守る兵士)たちのたくかがり火。そのかがり火の ほのおは、夜は赤あかともえあがり、昼間は魂も消え入るばかりになって、苦しい恋の思いに悩んでいるのです。
※
衛士
えじ
・・・宮中を守るために諸国から集められた兵士。 一年交代制だった。
■作られたワケ
まだ能宣が若かった頃、一人の女性と燃えるような恋をしました。 その人の所へ通うときに、みかき守の前を通っていったので、「あの炎は私たちの恋のようだなあ」 と思いこの歌を作ったそうです。
■作者プロフィール
大中臣能宣朝臣(921〜991)
祖先は中臣氏で、代だい神職の家に生まれました。歌人としてもすぐれ、三十六歌仙のひとり。 また「梨壷の五人」のひとりとして『後撰集』をまとめたり、 『万葉集』のを研究をしたりしてました。