50番
出典:「後拾遺集」より
君
きみ
がため
惜
を
しからざりし
命
いのち
さへ
長
なが
くもがなと
思
おも
ひけるかな
藤原義孝
ふじわらのよしたか
■口語訳
あなたとお会いするためになら、たとえ捨てても、 けっして惜しくない命だと思っていました。しかし、こうしてあなたとお会いできた今はちがいます。 あなたともっとお会いするために、いつまでも生きていたいと思います。
※長くもがな・・・長生きしたいなあという意味。
■作られたワケ
義孝は愛し合った人がいましたが、病気のためになかな会えませんでした。会ったときに 、その喜びをこの歌に詠んだそうです。
■作者プロフィール
藤原義孝(954〜974)
兼徳公伊尹の子。兄の挙賢の前少将に対し、後少将とよばれました。 目のさめるような貴公子で、和歌の天才とうたわれましたが、天然痘にかかり、二一歳のとき兄と 同じ日に死にました。