液晶になぜ文字がうつるのか


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液晶の普及

パソコンのモニターに液晶が使われるようになった時は「キレイで薄くなったなー」と感動したものです。最近では液晶テレビが開発されるなど、どんどん進化をとげていますね。

ここでは基本的な液晶回路である「電卓」に文字が出るわけについてひもとき、液晶のしくみについて書こうと思います。 この辺りは理系の大学に進んだ場合に大学で習う範囲です。 結構難しいのですが、最後まで読むと力がつくと思うのでがんばってください!


液晶とは何か

液晶とは、液体の特徴である「自由に分子が動ける構造(流動性)」と、固体の特徴である「光を屈折する働きを持つ構造(結晶)」をあわせもっている不思議なものことです。
また面白いことに「電気を流すと配列を変える」という性質もあります。


偏光板

液晶について話すにあたって必ず必要なので少しだけ。 光とは、空気中では色々な所で乱反射するため一定の方向には流れていません。 では光を一定方向に流したい時はどうするのでしょうか? それは偏光板を使えばいいのです。

偏光板には「垂直の光だけは通過させる」「垂直ではない光は反射する」という性質を持っています。 



黒と白

下の図のように、偏光板の間に液晶を挟みこみ、液晶の両側に電極を配置します。

電気を流していない時は、下図のように液晶は縦を向いているため、偏光板を通してやってきた垂直な光は液晶にぶつかり、屈折し、ナナメを向きます。 そしてナナメになった光は2枚目の偏光板にあたります。 偏光板には「垂直ではない光を反射する」という性質をもっているため反射され、外にもどってきます。 この光を見ることで人は「白い」と感じることができます。




さて電気を流してみましょう。 すると下図のように、液晶がいっせいに回転しだします。 すると偏光板を通してやってきた垂直な光は液晶に当って屈折されることなく、直進し、2枚目の偏光板にあたります。 偏光板には「垂直の光だけは通過させる」という性質があるため、そのまま直進し、外には反射しません。 反射した光をみるわけでもないため、人は「黒い」と感じることができます。




電卓の表示部

電卓の表示をよく見てください。右図のように、8のかたちになっていて、その一つ一つがマスでくぎられています。 そのマス一つ一つに電気を流したり、流さなかったりすることにより、黒、白、2つの色を見分けることができ、全体を見ると数字だな、と確認することができるのです。

パソコンに近づいて良くみると、やはり一つ一つのマスに区切られています。 これがいわゆる「ドット」と言われるもので、文字がWindows等でカクカクしているのはこのためです。


最新の液晶

現在では白・黒だけではなく、中間色を出すものも開発されました。 またカラーフィルターなどをかけて作る、カラーの液晶も一般的になっています。

パソコンの画面を見ていると液晶は「光を出している」と思われがちですが、その光は後ろからライトで照らしているものです。 最近では「有機EL」という技術も開発され、ライトを必要としないため、さらなる超薄型への応用も始まっています。 将来、画面がカードのような薄さになるのも時間の問題かもしれませんね。


*わかりやすく説明するために、偏光板の性質や液晶の性質などいくつか原理と異なる説明をしています。


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