「トヌペカランラン」についての考察

この物語で気になる点といえば一つ浮き彫りになりますよね?
なぜ、沼貝は豊作をもたらすものとして伝承されているのでしょう。

人間の暮らしの中で沼外が一番大きな働きをしているのは、実は貝の身ではなく
貝殻なのです。沼貝の貝殻は、ヒエやアワの穂ちぎりに用いる大切な道具なので
す。殻類の収穫にはなくてはならない道具でした。では、カマはなぜ使われなかっ
たのでしょうか。カマはそれで切られると生き返らないといいわれ、魔よけに使わ
れたのです。

このようにヒエやアワの収穫と沼貝は斬っても切れない関係のものと考えられてき
たことでしょう。そこから沼貝を粗末に扱えば、収穫に悪い影響を及ぼすと考えら
れたのではないでしょうか。沼貝を大切に扱った人間に豊作がもたらせるという伝
承は、こうした考えから生まれたのでしょう。

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