家の中から老夫婦が出てきます。
手合わせて、礼をしました。
シマフクロウが見ると本当に貧しい有様でしたが、老夫婦は紳士と淑女の品格をそなえていました。
シマフクロウを見ると、二人はさっと体を折るように腰をかがめて礼をしました。
老人は帯をきちんと締めなおし、私を拝みます。

「シマフクロウの神さま、大切な神さま。貧しい私達の粗末な家に、ようこそお越しくださいました。
ありがとうございます。昔は栄えて富んでいる人々の中に、私達を数えいれる程でありましたが、
今はこのようにひどく貧しい者になってしまいました。
村を守る神様である大切な神様をお泊めすることも恐れ多いことであります。
しかし、今日はもう日が暮れましたので、大切な神さまは我が家にお泊りになってください。
明日には、御幣だけでもお贈りたいですが。」
そう言いながら何回も何回も私を拝みました。

老婦人は神窓の下に模様入りのゴザを敷き、私をそこに座らせました。
それから全員が寝ると、すぐにいびきの音が聞こえてきました。



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