子供はわざと古い着物を着せられていました。
そして、その格好で村中の今のお金持ちの人々を家に招くために使いに出されます。
シマフクロウが見守っていると、子供は一軒一軒の家に入って伝言を伝えました。
今のお金持ち達は、子供の伝言を聞くと一斉に笑います。

「これは驚いた。貧乏人どもが、いったいどんな酒を造るのか。
どんな宴会に人を招待するんだろうか。
どんな哀れな様子か、行って見て笑おうじゃないか。」
言いながら大勢が、家にやってきました。

大きく立派になった家を見るだけで、みんなは驚き恥ずかしがります。
それを見た老婦人は、みんなの手を取って家の中に招き入れました。
おずおずと座り、誰も顔をあげる人はいません。
やがて家の主人が立ち上がり、カッコウ鳥のような美しい声で語りだしました。

「このように私どもが貧しかったために、分け隔てなくお互いに行き来も出来ませんでした。
しかし、村を守る大切な神さまが私どもを哀れに思ってくれました。
何の悪い行いもしていなかったので、宝物や立派な家を恵み与えてくれました。
ですから、これからは村中ひとつになって仲良くし、お互い行き来したいことを皆様に
お願いする次第であります。」

老人が挨拶すると、人々は何度も何度も手をすり合わせ、これまでのことを謝りました。
そして、これからは仲良くすることを約束し、話し合いました。
シマフクロウはみんなから感謝され拝まれました。

それからは、人々の心がほぐれて、類まれなほど美味なお酒を酌み交わしました。
シマフクロウも火の神や、家の神、幣の神と共に楽しい語らいをしながら人間達の舞いや
踊りを眺め、実に楽しい時を過ごしました。
そして、二日三日経つと経つと宴会は終わりました。


モドル ススム