今から数千年前、まだ羅針盤や海図やコンパス等の近代計器が存在しなかった頃、人々は夜空に輝く星の位置を手掛かりにして航海をしていました。 これは星の航海術(スターナビゲーション)という南太平洋の伝統航海技術です。現在はほとんど使われることはありませんが、ミクロネシアの一部で伝承され続けています。
■星の航海術で海を渡った実例■
ハワイ出身のナイノア・トンプソンは、星を見ながらハワイからタヒチまで5000キロの海を、伝統に基づいて復元された古代の遠洋航海カヌー「ホクレア号」(ホクレアとはハワイ語で喜びの星という意味で、西洋風に呼ぶならばアークツルス。ハワイを目指す際の目印となった星の名前) で航海しました。
■星から得る情報■
< 時間 > 地球は自転しています。そのため、夜空の星は一定の時間で東から西へ動いていきます。単に時計の代わりにしていたというだけではなく、生活や仕事のくぎりとして星をみていたようです。 < 季節 > 地球は公転しています。そのため、夜空の星は毎日少しずつ東から西へ位置をかえていきます。ですから季節が変わると同じ時刻にみられる星も変わります。 作物をつくったり、魚をとったりする人たちにとって、季節の移り変わりを知ることは大事なことでした。 < 方角 > 夜空の星は北極星を中心にまわっています。この星はほとんど動かないので、どこにいても北を示してくれます。 北極星が見られない南半球では南十字星が使われました。
北極星と南十字星の見つけ方 ⇒