AUTOMOBILE

■ガソリン車とディーゼル車の違い

車に搭載されているエンジンの多くが、ガソリン・エンジンというイメージが大きいですが、トラックなどの大型車に搭載されているエンジンはディーゼル・エンジンなのです。 ガソリン・エンジンとディーゼル・エンジン、この二つの動力源は見た目も基本構造もほぼ同じ内燃機関なのに、性能・用途・乗り心地が大きく異なります。何故でしょうか。

ガソリンエンジンに使用する燃料は「ガソリン」、ディーゼルエンジンに使用する燃料は「軽油」ですが、その組成はどちらも炭素と水素です。ですから燃焼後に排出される物質は同じです。つまりガソリン・エンジンとディーゼル・エンジンの排出ガスの違いは、燃料の違いよりも燃焼方式の違いによっているのです。


ではそれぞれの燃焼方式はどうなっているのでしょうか。 自動車用エンジンの多くは、吸入・圧縮・燃焼・排気の4つの行程をくり返す、4サイクルエンジンです。これはディーゼル・エンジンもガソリン・エンジンも同じです。しかし、この行程をさらに細かく分類すると、2つの大きな違いが現れます。それは燃料と空気を混合するタイミングと、その混合気を爆発させる方法です。 ガソリンエンジンは、あらかじめ燃料と空気を混合して燃焼室に送り込み、圧縮します。そして、その圧縮した混合気に点火プラグで火をつけます。


それに対しディーゼルエンジンはあらかじめ空気を吸い込み、高圧に圧縮し、その圧縮されて高温になった空気に燃料を噴射して自然発火させます。 つまり、はじめから燃料を空気と混ぜて、その混合気を人工的に発火させるガソリンに対し、ディーゼルは、高圧に圧縮したことによって空気が高温になったところに、初めて燃料が入って自然に発火させるのです。ディーゼルエンジンは吸い込む空気の量を調節するのではなく、噴射する燃料の量で出力の調整をしているのです。 そのため、混合ガス中の空気と燃料の重量の割合は変化してしまいます。そのかわり、吸入空気を調節する弁は必要がなく、熱効率が高く燃料消費率も軽減でき、ディーゼル車が燃費がいいと言われる理由の一つとなっています。

ところで、ディーゼルといえば、黒煙を巻き上げて走る大気汚染に貢献している汚い車…、しかも、東京都や埼玉県の規制にかけられている車じゃないか、という印象を持つ方が大半だと思われます。確かに、ディーゼル車から出る黒煙は様々な問題を起こしているのは事実です。大気汚染をはじめ、それによってぜんそくやアレルギーの症状を促進させたりと、人体に悪影響を及ぼしています。

では、その黒煙が出来てしまう原因は何でしょうか。 ディーゼル・エンジンは、圧縮された高温の空気の中に燃料を噴射する仕組みのため、空気と燃料がよく混ざり合わないうちに自然発火が起こります。ムラのある混合状態での燃焼が不完全燃焼となりやすく、燃焼温度が低かったり、少しでも酸素が足りなかったりすると、燃え残った燃料の粒や、燃料中の硫黄分から生成される有害な物質を排出してしまうのです。 だからといって、排ガスの問題を無視して通るわけにもいかず、東京都がディーゼル車に規制をかけるのをはじめ、日本におけるディーゼル車のイメージは悪玉と化しています。

一方欧州では、ディーゼルは環境にやさしく、燃費もよい、いい車、というイメージを持っています。これにはそれぞれの環境の違いから、ディーゼルのイメージに差が出ています。

*このディーゼルに関する考え方の違いについては、錯綜するディーゼル論でご覧になれます。