|
||
現在の日本ではトラック等による自動車運輸が増えています。さきほどの排ガス規制の通り、ディーゼル車によって環境問題は促進しています。特にディーゼル車から排出されるSPM(黒煙)による大気汚染が問題となっています。ですが一方で、CO2(二酸化炭素)の排出量が少なく、地球温暖化の防止には貢献できます。ディーゼルには短所も長所もあります。そのためディーゼルを支持する擁護論と、ディーゼル非難と二極分化しています。擁護論は、二酸化炭素の排出量が少ないので、欧州ではディーゼル車が増えているというものです。ディーゼル非難は、ディーゼル車によって大気汚染が進んでいるから早くガソリン車や天然ガス、燃料電池自動車に変えるべきだ、というものです。どちらも極端すぎるところがあり、正しいとはいえません。念のため、もう一度ディーゼルの特徴を確認してみましょう。 |
||
長所…燃費がいいため二酸化炭素の排出量が少ない 耐久性がある 短所…SPM(黒煙)を排出する NOx(硫黄酸化物)の排出量が多い 三元触媒によって有害物質の排出を抑えられない |
![]() |
|
| 擁護論は、長所だけをみれば、確かに二酸化炭素の排出量が少なく、温暖化には貢献できるでしょう。熱効率がいいため、ガソリン車よりはるかに燃費がよくディーゼル46%、ガソリン32%とディーゼルの方が14%リードしています。現に欧州では、二酸化炭素の排出量が少ないといって、ディーゼル車が増えています。しかし、大気汚染の問題を無視するわけにはいきません。新しいディーゼル車は排ガスが浄化されつつあるのですが、古いディーゼル車はそうもいきません。フィルターを取り付けたり、バイオ燃料(植物の油から作ったもの)を使用するという手もありますが、それでも完全に有害物質を取り除くことはできません。 一方のディーゼル非難ですが、日本ではこのような意見や見方が多いでしょう。ディーゼルによって大気は汚染され、健康被害が増えている、という意見です。だからすぐにガソリン車や天然ガス、燃料電池自動車に変えるというのでは、あまり解決にはなっていません。ガソリンも有害物質を出すことには変わりありません。天然ガスはあまり普及していませんし、燃料電池自動車に関してもいつ実用化されるのか分かりません。 |
||
|
いずれにせよ、過度な擁護論も非難も、一見正しいように見えても、どちらも正しいとはいえないのです。現在のところ決定的な解決法はありませんが、既に東京都などでディーゼル規制が始まっているところをみれば、まず大気汚染を防止するところから始めたほうがよいのかもしれません。そのためにも、早いうちに排ガスをまったく出さない燃料電池自動車や電気自動車が一般に普及する必要があります。 |
★トレードオフの関係★ |
|
![]() |
||